英文契約書翻訳のポイント116
英文契約書の基本的用語/表現 - assignmentとnovation
assignmentは、一般に「譲渡」と訳されますが、この言葉は権利または利益の移転を意味し、義務や債務を移転対象としません。
俗に、権利義務の譲渡(assignment of rights and obligations)という言い方をしますが、この言い方は正確ではなく、正しく表現するためにはassignment of right(権利の譲渡)とdelegation of obligations(義務の委託)に分ける必要があります。
契約は本来契約当事者の一身に専属するものなので、assignmentによって移転できるのは権利・利益のみであり、債務については債務者が引き続き履行責任を負うというのが基本原則です。
一方、novation(更改)は、契約当事者としての地位そのものを第三者に譲渡するための手法です。契約当事者は、novationというプロセスを通して権利・義務のすべてを第三者に移転することができます(”assignment” は「権利の譲渡」、”novation” は「権利のみならず義務を含めた契約上の地位の移転」と理解するとわかりやすいと思います。)。