英文契約書翻訳のポイント108
契約書の英訳 - 日本独自の概念を持つ言葉の英訳
契約の無条件解除事由の一つに、「支払停止または支払不能の状態に陥ったとき」というのがあります。
これを、文字通りに “(the other party) suspends payments or is unable to pay its debts” で済ましてしまっては趣旨が正しく伝わりません。支払停止は、債務者が支払い不能に陥ったことを自ら表示する行為で、この用語を正しく表現するには、”admit to its creditors its inability to pay debts generally as such debts become due (shiharai teishi)” などのように訳す必要があります。
一般に、支払停止や会社更生、民事再生のように、日英間で互いの訳語が定着していない日本語の用語や日本語独自の用語を英訳する場合は、”admission of inability to pay debts (shiharai teishi),” “corporate reorganization (kaisha kosei), civil rehabilitation (minji saisei) or corporate arrangement (kaisha seiri)” などのように近似した訳語を記載し、その後ろにカッコ書きで日本語そのものをイタリック体のローマ字で記載することによって、日本語独自の概念に基づく用語であることを示します。