英文契約書翻訳のポイント56
英文契約書の基本的用語/表現 - implied warranty
英文契約書には、implied warranty(黙示の保証)という言葉が頻繁に登場します。impliedはexpress(明示の)の反対語で、「黙示の」という意味の形容詞です。
express warrantyが文言または言語で明確に表明された担保責任を意味するのに対し、implied warrantyは、取引の性質や状況、当事者間の相互関係等から、存在が推知される担保責任をいいます。
UCC(Uniform Commercial Code統一商事法典)では、商品売買の場合、merchantability(商品性)、fitness for a particular purpose(特定の目的への適合性)等について、黙示の担保責任を認めています。
ちなみに、merchantabilityは、商品として最低限満たすべき性質を意味し、fitness for a particular purposeは、売主が、買主の購入目的を知り、買主の購入意思が売主への信頼に基づくものであると認識していた場合に売主に生じる担保責任をいいます。
自動車は走るのが当たり前ゆえ「走らない自動車」にはmerchantabilityがなく、「レース用自動車」の購入の場合なら、普通に走るだけでレースカーとしての仕様を満たさない自動車はfitness for a particular purpose の保証要件を満たさないことになります。