英文契約書翻訳のポイント43
英文契約書の基本的用語/表現 - forum non conveniens
契約書の裁判管轄(jurisdiction)に関する条文の中に、forum non conveniens(フォーラム・ノンコンビニエンス)(「不便な法廷(地)」の意)という言葉が使用されることがあります。forum non conveniensの原則とは、管轄権を有する複数の裁判所の中で、紛争と密接に関係する便宜適切な裁判所が管轄権を有するべきとする法理をいいます。
参考)フォーラム・ノンコンビニエンスの原則
訴えの提起を受けた裁判所が, 裁判管轄権を有するにもかかわらず, 当事者の便宜や正義の実現のためには, 裁判管轄権を有する他の法域の裁判所で審理を行うほうが妥当であると考えた場合, 裁量により裁判管轄権の行使をせず, 訴えを却下することを認める法理. とくに近年アメリカで, 州裁判所の管轄権の拡張 (→long arm statute) に伴い, 事件と直接かかわりがないような州で訴訟が提起される可能性が増大したこともあって, 他のより適切な法廷地での訴え提起を促すため, この法理が用いられる.
(出典:田中英夫編「英米法辞典」、東京大学出版会、1991)