英文契約書翻訳のポイント34
英文契約書の基本的用語/表現 - Force Majeure 1
英文契約書では、force majeure(不可抗力)を契約上の免責事由とする場合、該当する事由を列挙するのが一般的です。
列挙する理由は、英米法が、契約当事者の契約履行義務は絶対で、責めを負うべき過失がなくとも契約義務を履行しなければならないという無過失責任の立場を取っているためです。
契約当事者は、契約を履行できない状況が想定される場合、想定される事由を契約書に明記しなければなりません。単に「当事者の合理的支配が及ばない事由(events beyond the reasonable control of the party)」としてもよさそうなものですが、実際には、契約を履行できない事由が生じたときに不可抗力事由に該当するかどうか微妙な場合があるほか、当事者自身のリスクの問題であるとして不可抗力が認められない可能性があります。
しかし、具体的に列挙しておけば、少なくとも列挙されたものについては不可抗力事由として認められます。反対に、不可抗力といえないような理由が不可抗力として記載される可能性もあるので注意が必要です。