英文契約書翻訳のポイント5
英文契約書の構成
次の文は、代表的な英文契約書の書き出し(頭書といいます)を簡略化したものです。
This AGREEMENT, made and entered into on [date], by and between ABC Corporation having its principal office at [address] and XYZ Company having its principal office at [address] WITNESSETH THAT:
著者が初めてこのスタイルの英文契約書に接したとき、なぜThis AGREEMENT is made … ではなくてThis AGREEMENT, made …なのだろうと疑問に思ったものですが、同じ疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか。
実は、made 以下は修飾句(modifier)でして、英文契約書は、歴史的にいいますと、この例文のmade以下で修飾されたThis AGREEMENTを主語に、WITNESSETH(witness の三人称単数現在形の古い形)を動詞としてTHAT以下の内容を述べた後、末尾の関係副詞文 IN WITNESS WHEREOF で締めくくって契約書全体を “This Agreement witnesses that …, in witness of which the parties have executed this Agreement” という長大な1文の形で記述するのが伝統的な書き方でした。
書き出しが This AGREEMENT is made … ではなく This AGREEMENT, made … となっているのは、この理由によるものです。現在では witnesses that 式の構文を取らずにThis Agreement is made という書き出しで始める契約書も一般的です。