英文契約書翻訳のポイント4
日英の契約書の違い
英文契約書は、概して長いのが一つの特徴です。なぜ長くなるのか。
短いか長いかの違いはあっても、基本的に契約書の役割は同じですが、英米法の契約と日本の契約とでは、契約としての成立要件に若干違いがあります。英米法では、契約は、「二人以上の当事者間で締結された、法律上強制可能な合意(legally enforceable agreement)」 として定義されますが、契約を有効にするには、約因が必要になります。約因は、considerationといいますが、契約上の債務の対価、つまり見返りを意味するもので、分かりやすくいえば、当事者間にギブアンドテイクの関係が存在するということです。
したがって、一方的な約束には対価性がないので、契約としては認められません。また対価関係があっても、たとえば、時価3万ドルする車を100ドルで売却するといったケースなどは、対価に合理性がないとして、契約としての効力が認められない可能性が大きくなります。これに対して、日本の場合は、単なる合意も、法や公序良俗に反しない限り、契約として有効とされるようです。